弔電(ちょうでん)とは、やむを得ない事情で弔問・通夜・葬儀に出向けない時などに、お悔やみを伝えるために送る弔慰電報のことです。最近では家族葬が増えてきており、ご親族と限られた知人以外は葬儀への参列ができない場合があります。このような時に弔電を送ることで、お悔やみの気持ちを伝えることができます。
弔電は電話やインターネットで手配することができます。NTTや郵便局の他に、インターネット上には多くの電報サービス業者があります。文例が用意されており、一部を入れ替えたり、文章を追加して利用することができます。
このコラムでは、失礼のないように弔電を送るためのマナーをご紹介します。
1. 弔電の宛名と差出人
弔電は喪主・ご遺族へお悔やみの気持ちを伝えるものです。したがって、宛名は「喪主名」となります。分からない場合は「故○○様ご遺族様」とします。差出人は、故人様との関係がご遺族に分かるように記載します。会社など連名で出す場合は、代表者と関係者の名前を記載しましょう。また、奉読された時のために、差出人の氏名の読み方が、難しいまたは間違えられやすい方の場合には、ふりがなを加えるとよいでしょう。
2. 弔電を届けるタイミング
お通夜の前に葬儀会場へ届けるのが一般的です。ただし、お通夜が夕方以降で関係者が到着していない時間に弔電が届いた場合に、会場側に受取を拒否されてしまうことがあります。可能であれば、お通夜の時間に合わせて、開始1、2時間前に届くように手配するのがおすすめです。読み上げは、基本的に告別式でされるので、お通夜に間に合わない場合は、告別式までに届くように手配しましょう。
弔電は、当日中に配達可能な場合が多いです。しかし、申込時間によっては翌日になる場合がありますので、申込の際に配達可能日時を確認するようにしましょう。
3. 弔電の敬称
喪主と故人の続柄についての「敬称」は、使い方に注意します。例えば、故人が喪主の父の場合は「ご尊父様」、母なら「ご母堂様」、夫であれば「ご主人様」、妻なら「ご令室様」などとなります。
〈続柄と敬称の例〉
4. 忌み言葉を避ける
忌み言葉とは、災いや不吉なことを連想させるような言葉、縁起の良くない言葉のことです。再び起こることを連想させる「重ね言葉」、「苦」「死」を連想させる数字の「四・4」「九・9」、他には「死ぬ」「苦しむ」といった直接的な表現のことです。口にすることで更なる不幸を招くと考えられているため、葬儀の場では避けることがマナーです。
また、宗教・宗派によって忌み言葉が異なりますので、弔電を送る前に確認しておきましょう。
〈仏式葬儀で避けるべき忌み言葉の一例〉
浮かばれない、浮かばれぬ、迷う
※死後すぐに成仏し、全ての人が極楽浄土へ行くとされる浄土真宗では「御霊前」「ご冥福」は使いません。
〈神式・キリスト教式葬儀で避けるべき忌み言葉の一例〉
成仏、供養、ご冥福、往生、お悔やみ、弔う、仏、合掌 (※全て仏教用語のため)
宗教・宗派に関係なく使える言葉としては、「故人の安らかな眠りをお祈りしています」があります。
〈忌み言葉の言い換え例〉
〈不吉な数字〉
四・4(音が「死」を連想させる)、九・9(音が苦を連想させる)
5. 句読点は使用しない
句読点は「区切り」「終わり」を意味することから、弔電には使わないことがマナーです。文面を作成するときは、句読点の代わりにスペースや改行などを使用します。
弔電を送る際のマナーについてお伝えさせていただきました。マナーと同様、もしくはそれ以上に大事なことは、ご遺族の悲しみに寄り添った言葉を伝えるということではないでしょうか。参列できない場合も、ご遺族の気持ちに配慮した弔電でお悔やみの気持ちを伝えたいものです。
(投稿:2023年3月16日)