喪主の大切な役割のひとつに葬儀での参列された方々への「挨拶」があります。
大切な人が亡くなったという悲しみの中、葬儀社との打ち合わせや、参列者への対応、葬儀のあとの手続きなども行わなければならず、そのうえ、お葬式という非日常の場で、何度も挨拶をしなければならない喪主の方の精神的負担は大きいものです。
今回の記事では、葬儀の中で行われる「喪主の挨拶」について、場面別での挨拶例や気を付けるべきポイントなどを解説していきます。
葬儀は平日の場合、お仕事の都合で通夜に参列される方も多くみえます。通夜は葬儀と比べ時間的に余裕があります。少し長くなってしまっても構いませんので、故人の最近の様子や好きだったことをエピソードを交えてご挨拶されるとよいと思います。
挨拶例
「本日は、ご多忙中にもかかわらず通夜にご参列いただきましてありがとうございます。
生前中は大変お世話になりました。
〇〇(故人)は...(仕事のこと、家族のこともしくは闘病の経過などを話す)でございました。
これからも〇〇の遺志を受け継ぎ、努力いたす所存でございますので、どうかご指導いただきますよう、
お願い申し上げます。簡単ではございますが、挨拶とさせていただきます。」
出棺前に喪主は遺族の代表として会葬者の方々に挨拶をします。
堅苦しい形式にこだわる必要はありません。ただし、出棺の時間が決められており通夜の時ほど時間的に余裕がないことが多いです。感謝の気持ちを簡潔に述べるとよいでしょう。
挨拶例
「遺族を代表しまして、皆様に一言ご挨拶申し上げます。
本日は御多忙中のところご会葬賜りまして誠にありがとうございます。
〇〇が生前中は皆々様に一方ならぬご厚誼を賜わり、
また本日は丁重にお見送りいただきまして厚くお礼申し上げます。
〇〇も心より、皆様のご厚情を感謝していることと存じます。
今後とも〇〇の生前同様、残された私どもにご厚誼ご指導お願い申し上げて、
ご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。」
挨拶に入れる主な内容としては
1.会葬者へのお礼
2.故人が生前お世話になったお礼
3.今後の遺族の決意ならびにお願いごと
4.締めの挨拶
これらを順につなげてお話しされるとよいでしょう。
初七日は本来、お亡くなりになられてから七日目に行う法要ですが、近年は様々な都合を加味し、火葬、収骨後に繰り上げて行うことが一般的です。法要の後にご会食へと移りますが、ご会食前の挨拶例をご紹介いたします。
なお、喪主の挨拶後に「献杯(けんぱい)」を行う場合は、喪主以外で親族の中での代表的な方にご発声をお願いするとよいでしょう。
※献杯は会食前に故人を偲び杯を捧げる意味で行います。行わない場合もあります。
挨拶例(始まり)
「本日はお忙しいところ、〇〇のためにご参列いただきまして誠にありがとうございました。
おかげ様で、昨日の通夜、本日の葬儀・告別式ならびに初七日法要と無事とり行うことができました。
お礼申し上げます。はなはだ粗飯ではございますが、お時間の許す限りおくつろぎいただきまして、
生前の〇〇のことなどお話を聞かせていただければ幸いでございます。本日はありがとうございました。」
挨拶例(終わり)
「本日はお忙しい中、最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。
おかげさまで滞りなく葬儀を終えることができ、故人も安堵していることと思います。
皆様から、〇〇の思い出話を伺うことができ、より一層〇〇のことを近くに感じることができました。
こうして皆様にお会いしておりますと、時間がいくらあっても足りませんが
この辺でお開きとさせていただきたいと思います。
どうかこれからも〇〇同様、変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。」
大切なご家族が亡くなり、喪主やご遺族は悲しみに暮れながらもお葬式の準備をすすめなければなりません。
慌ただしく時間もない中、挨拶の文章を考えるのは大変なことです。喪主になるということは、誰しも経験することではありませんし、なにを話せばよいか、わからなくて当然です。
不安であれば原稿を読みながらご挨拶されても問題ありません。決してうまく話す必要はありません。故人に対する思い、参列してくださった方々への感謝の気持ちを込めてお話しされるとよいかと思います。
(投稿:2022年5月20日)