故人の死をお知らせする方法といえば何を想像しますか。電話、メール、今でしたらLINEなどでしょうか。限られた方にお知らせするのであれば、それで十分かもしれませんが、これら以外に故人の訃報を広く知らせる方法が「訃報広告」です。
「訃報広告」とは新聞に有料でお葬式の情報を載せるものです。
生前に活躍された方や社会的地位のあった方が載せるものだと思われがちですが、一般の方ももちろん利用できます。連絡が取れない、取りづらい方へも通知ができる、葬儀の情報を各所へ通知する手間が省けるという利点があります。
この記事では、訃報広告がいつ頃から使われるようになったのか、また読み方などについて解説していきます。
明治から大正にかけて新聞が普及し、次第に大きなお葬式の日時場所の告知に新聞広告が使われるようになりました。今ではすっかり定着し、新聞の中一面記事と三面記事に続いて見られる機会が多い場所と言われています。
規模の大きい葬儀・お別れの会などは社会面での訃報広告を利用することが多いです。個人葬の場合は中日新聞紙面中程の市民版の訃報広告を利用されることが多いです。
訃報広告の左側に「○○家葬儀御用達」という言葉と葬儀社の連絡先が書いてあることがありますね。
これは「付広告(つけこうこく)」と呼ばれている葬儀社が費用を払って掲載している部分です。どの葬儀社が執り行うか、ということはもちろん、葬儀社の連絡先を掲載しておくことで、忙しい喪家への問い合わせを緩和したり、ご供花の注文を直接受けることですばやく手配ができるという効果があります。
どの葬儀社もこの「付広告」を出しているというわけではないですが、調査によると名古屋の業者が一番多く出しているようです。土地柄でしょうか。
なお、注意して死亡広告を見ると、ときには「はなはだ勝手ながら、ご供花ご供物香奠の儀は固くご辞退申しあげます。」という言葉に続けて、「万一お届け下さいましても拝辞いたしますので、悪しからずご了承のほどお願い申しあげます。」とある場合があります。この場合は、供花や供物、香奠は辞退されてみえるということを意味しています。
このような、儀式に対して丁寧に古式を重んじるのは、名古屋の地域性を表しているといわれています。
いかがでしたでしょうか。
近年では、近親者のみで葬儀される方も以前に比べて多くなり、後日「葬儀を行いました」という旨の報告を掲載する場合もあります。
またコロナ禍においては「昨今の状況を鑑み、家族のみで執り行いました」という文章もよく見るようになりました。訃報広告も時代の流れに沿って少しずつ変化していますね。
ただ葬儀は家族、親族の皆様はもちろん、故人とのご縁があられた方々にとってもお別れをし、心にとめる大切な機会なので、そういった方々にも是非ご通知をしていただけるとよろしいかと思います。
いまや、ネットの時代、新聞での通知なんて古いのでは、と思われる方もいるかもしれません。
しかし電話やメールなどと比べて、一度に大勢の方に同じ情報を通知できる、ということは訃報広告の大きなメリットです。参列者のなかには「新聞を見て知りました。」といわれる方も多くみえます。
訃報通知の方法が時代とともに変わっても、訃報広告は今後も必要とされていくでしょう。
(投稿:2022年3月7日 更新:2022年5月10日)