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夏の長期休暇として私たちの生活に定着している「お盆休み」。故郷に帰省されたり、旅行に行くという方も多いのではないでしょうか。ですが、「お盆」といえば「先祖供養」の行事としてとらえられる方も多いと思います。
今回は、この「お盆」という行事・風習について解説していきます。
「お盆」については、地域や宗教・宗派によってさまざまな解釈、作法があります。
「お盆」という呼び名は、※盂蘭盆会(うらぼんえ)の略称とする説が広く伝わっております。
※サンスクリット語の「ウランバナ(逆さ吊り)」やペルシャ語の「ウルバン(霊魂)」を漢字音写したものと考えられています。仏弟子目連尊者(もくれんそんじゃ)が、餓鬼道におちた母を救おうとしたという仏教経典の「盂蘭盆経」に基づきます。
今でこそ「お盆」は仏教の行事として認識されていますが、日本に古くからある「祖霊信仰」と仏教の「盂蘭盆」とが合わさり、広まっていったとされます。仏教行事としてのお盆の行事(盂蘭盆会)は推古天皇の605年に初めて宮廷で催されたとされ、以降、平安時代には夏の祖先供養の風習として確立されたと考えられています。
江戸時代になると、七月十三日は寺参りをして、"迎え火"を焚き、盆灯籠を下げ、精霊を迎える準備をします。盆中は精霊を守り、僧侶の棚経(たなぎょう)があり、十五日の夕方に"送り火"を焚いて霊を彼岸へ見送る盆行事が一般的に行われていました。
現在のように新暦八月十五日を中心に行われるようになったのは、明治六年(1873)のグレゴリオ暦(新暦)採用以降のことになります
前述したとおり、「お盆」の風習については地域、宗教宗派によって作法・考え方に違いがあります。「お盆」の期間も地域によって異なります。(7月13〜15日に行う地方もあります。)
お盆の風物詩である「盆踊り」も、念仏踊として、先祖の霊を慰めるための踊りであり、また、豊作祈願の踊りという一面がありました。
近年では、「盆踊り」と呼ばず宗教性を取り払って「夏まつり」と呼ばれていることが多いですね。地域の親睦を深めるレクリエーション的に行っているのは、宗教性よりも豊作祈願といった民俗的概念が発展したものといえます。
「お盆」は地域によってさまざまなかたちがあるとお伝えしましたが、長期のお休みということもあり、故郷に帰省し、家族そろってお墓参りをするという方も多いと思います。お墓や仏壇に手を合わせ、自分のご先祖様に感謝を伝える。親や親戚の姿を見て、先祖を大切に想う気持ちを次の世代の子どもたちにも引き継いでいってほしいですね。
「お盆」は親族が集まる数少ない機会でもあります。普段はなかなか話すことがない、万一のときのこと、今後の供養の仕方、ご自分やご両親の終活について話し合う機会になさってみてはいかがでしょうか。
(投稿:2022年8月5日)